低学力の子供たちに、勉強に必要な言葉を覚えてもらうための語彙習得ドリル「ワードクライシス」について、何回かに分けて、制作の背景をご紹介していきます。私の思い・考えを発信することで、分かり合える仲間を増やせたら、と思っています。
言葉を効率的に覚える方法
語彙習得についての本「Bringing Words to Life」 Isabel L. Beck (著), Margaret G. McKeown (著), Linda Kucan (著)には、言葉を子供に効率的に教える方法が、次のように書いてありました。
- ステップ1 言葉の定義を、辞書の定義の文言をかみ砕いて、分かりやすい説明で教える
- ステップ2 その言葉を使った、多様な活動に取り組ませて、その言葉の理解を深めさせる
分かりやすい説明で言葉の定義を教える
「Bringing Words to Life」 によると、新しい言葉を教える時にやってはいけないのは、辞書に書いてある通りの文言をそのまま子供に伝えること。何故なら、 ①抽象的で理解しずらい ②別の意味に勘違いしやすい ③複数の意味が書かれていて混乱しやすい からです。ちなみに「社会」という言葉の辞書の定義はこうなります。
【社会】
1.人間の共同生活の総称。また、広く、人間の集団としての営みや組織的な営みをいう。「―に奉仕する」「―参加」「―生活」「国際―」「縦―」
2. 人々が生活している、現実の世の中。世間。「―に重きをなす」「―に適応する」「―に出る」
3. ある共通項によってくくられ、他から区別される人々の集まり。また、仲間意識をもって、みずからを他と区別する人々の集まり。「学者の―」「海外の日本人―」「上流―」
4. 共同で生活する同種の動物の集まりを1になぞらえていう語。「ライオンの―」
5. 「社会科」の略。
goo 国語辞書
低学力の子供が、これを読んで理解するのは、かなり難しいです。そこで、語彙習得ドリル「ワードクライシス」では、「Bringing Words to Life」に従い、簡潔な定義にしています。
【社会】 同じ地域や国などで生きている人の集まりのこと。
ワードクライシス
辞書は、言葉の意味を正確に伝えようした結果、細かくてややこしい表現になっています。しかし、子供に新しい言葉を教える時には、大まかな意味を、分かりやすく伝える方が大切なのです。大まかな意味を理解した後、その言葉を含んだ文章をいくつも読めば、細かい意味も理解できるからです。
多様な活動でその言葉の理解を深めさせる
「Bringing Words to Life」によると、新しい言葉を子供に身に着けされるには、多様な活動でその言葉を読み、自分で使う必要があるとのこと。また、自分自身の英単語習得の経験でも、10回前後の練習が必要でした。
しかし、市販の語彙習得本やドリルは、1種類か2種類の活動(問題)しかなく、練習の回数も少ない場合がほとんどです。それだと、言葉の意味を習得するのは難しいです。
そこで、ワードクライシスでは、
- 複数の例文から、定義を推測する問題を通して、定義を知る
- 例文を、音声のお手本のまねをして音読する
- その単語の使い方が正しいかどうかを判定する
- ばらばらになった文章を、正しく並べて完成する
- その言葉を使って文を作る など
の多様な問題を1単語につき約20個用意しました。その結果、知らない単語を習得できる率が8割になりました。
など
続きは、別の記事で書きますね。
——————————————————————————————–
読んでくれてありがとうございます。同じ思いをお持ちの方、力を貸して下さい!
にほんブログ村
コメント